研ぎ澄まされた包丁で一気に切り出される
性徴を想い起こさせるピンクの一切れ
口腔内でのそれは恍惚以外の何者でもない
泳ぎながら眠る君
泳ぐのを止めるとは即ち死である君
その君の腹で育まれたその至福が
どこをどう流れ着いたか私の目の前で
ろしあじんだかろさんじんだかの皿の上で
屹然と存在する
いや存在しない
すべては幻想や妄想にすぎない
包丁はなまくらで
その主はスーパーの生鮮部のバイトの兄ちゃんだ
そして皿とは焼き物かガラスで出来ている
のだとすれば
この発泡スチロールは何だ
(しかも紫蘇の葉の絵が書いてある)