アル中からの脱出あと10年

EddieTheFeminist 家庭内別居中

映画「野火」はまだ観ていない:行動しない人々の社会

私は大岡周平の原作を中学生の頃に読んだ。

世の中にはまだ微かに戦後の残り火があった時代だ。例えば、御徒町松坂屋の玄関で傷痍軍人の募金をやっていた。

少年の私は、読んで結構なトラウマとなった。

 

当時、世の大人たちは生命の危機を体験した世代だった。彼らだからこそ、高度成長なんていう離れ業をやってのけることができたんではないかと思う。

そう、その頃の大人の凄まじさを知っている私からすれば、今の大人達の危機感のなさには、時々愕然とする。って私もその一人だけどね。

 

端的に表す便利な言葉、それは「平和ボケ」。

 

何故か、なにもしないでも自動的に大丈夫だろう、って思ってるんだね。これは、戦争体験世代の大人が築いた社会のなかで、庇護され甘やかされて育っちゃった、っていうことだと思うんだ。二代目は身上を潰す、っていうことだね。

 

東京ではどこでも無警戒に街中を歩けるし、あれだけ人が多いのに、危ない人にはめったに遭遇しない。犯罪がないわけではないけれど、遭遇確率は極めて低い。

 

こんな日本を築いたのは戦争体験世代で、私達はその成果を享受しているにすぎない。自分たちでは何にもしてないくせに、世界に誇る技術があるとか、世界一治安がいいとか、街が美しいとか自慢し、その上、それらを賞賛する外国人の投稿を拾ってきては自慰行為にふけってるわけだ。極めてアホらしい。

 

映画「野火」は観るべきだと思う。しかし、すでに私の心の底にあるトラウマに更にもう一層のトラウマを積むことになるだろう。まだ勇気がでない。

 

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